フースラーメソッドの要?アンザッツ5番

みなさん、こんにちは!

今日は私が重点を置いてお伝えしている「フースラーメソッド」において、一番重要とされている声「アンザッツ5番」について書きたいと思います。

この5番くんはほんと〜に難しいです。(というかアンザッツどの声も全て難しいんですが…)

たまに私の所にもフースラーメソッドを少し学ばれていて詳しく知りたくて来られる方がいらっしゃいますが、
おお!良い感じの5番だ!という方は少ないですね。(個人的感想です)
かくいう私もまだまだ発展途上なのですが、自分なりの解釈を書いてみようと思います。

 

 

1.アンザッツ5番の音色と筋肉

さて、アンザッツ5番とはどんな音色なのか?
その前に、フースラーメソッドについては武田梵声先生の著書が大変勉強になりますので、そちらを読んでDVDの音源を聞くことをお勧めいたします。

 

 

一応私の5番のデモも載せておきます。

アンザッツ5番

 

この声、なに声に聞こえますか?裏声ですか?地声ですか?
再生する機器によって少し音質に差がでてしまうかと思いますが、自分的には今日のところはよしとしようという5番です笑

簡単に言うとアンザッツ5番は「喉頭位置の高い”裏声”」です。なので裏声です。
物理的、筋肉的に何が動いているかと言いますと、
喉頭を引き上げる「甲状舌骨筋」と、声帯を伸展させる「輪状甲状筋」と、声帯を閉鎖する「斜・横披裂筋」「外側輪状披裂筋」(まとめて披裂筋群)になります。


(『フースラーメソード入門<DVD付>』武田梵声先生著より)

裏声に分類される声ですが、声帯を閉鎖する筋肉が関与していてきちんと閉じられているため、一般的にイメージされる裏声の”フワッとした感じ”とか”息っぽさ”がなく鋭い印象の音色になっています。
なので地声っぽく聞こえるのも間違いではないです。

 

2.なぜ重要なのか

この5番がなぜ7種類のアンザッツの声の中で重要と言われるのかと言いますと、
発声に関わる働きをバランスよく含んでいるという点が挙げられると思います。
すごく大雑把に言えば、いろいろ喉の開発が進むということです。

アンザッツ5番に含まれる働き

●「声帯を引き伸ばす」(輪状甲状筋)
→  音程
●「声帯を閉じる」(披裂筋群)
→  声量、響き
●「喉頭を上げる」(甲状舌骨筋)
→  喉頭(声帯のお家)の安定、共鳴腔のコントロール

 

3.なぜ難しい?

この5番の難しさは、それっぽい音色は結構みなさん初めから出すことができてしまう点にあります。
梵声先生もご本のなかで例えられているように、アニメ「ゲゲゲの鬼太郎の目玉のオヤジ」や「キテレツ大百科のトンガリ」、「ブラックジャックのピノコ」のような声です。アニメのキャラクターにはこの5番傾向の声は多いですね。
私的には「ワレワレハウチュウジンダ」とかヘリウムガス吸ったみたいな声ですが、
みなさんにこういった感じをイメージして出してみて〜とやっていただくと、
簡単に言えば、変なミックスボイスみたいな、ちょっと重たそうな5番的音色が表出しやすいです。(みんなではありません)
アンザッツ5番は、閉鎖はきちんと起こっていますが、声帯が分厚くはなっていないのが大切です。(内筋がゼロというわけではありません)
デモを聞いていただいてわかると思いますが、この声の鋭さやキラキラした感じ(フォルマント)を狙おうとすると、
必要以上に声帯を閉じすぎてしまったり、または声帯を厚くしてしまう傾向があります。
裏声なのであくまで声帯は薄い状態を保てなければいけません。
強く聞こえるけれども出している本人の体感は軽く、言葉もきちんと発音できるし、動きもつけられます。

裏声なんだけれども、きっちり閉鎖されているというのが特徴です。
この閉鎖するというのが難しくて。
なんでもいいから自ら声帯を閉鎖させるわけではなく、喉頭が上がったので閉鎖がうながされたという捉え方の方が合っているんじゃないかなと思うのです。
声帯の閉鎖の絶妙な良いバランスを見つけるのはとても大変です。
声帯を閉じようと意識してしまうと内筋もセットで動いてしまうという方は多いです。
なので5番ぽいけれども、なんだか重たそうという音色になりやすいので、
かえって裏声地声の混合が進んでしまうということがありえますので、
きちんと出すことが難しい発声なのですね。

 

4.フースラーメソッドの考え方と5番のメカニズム

喉頭が上がっていけば次第に声帯は閉じていくのが生理現象なので、
余計に何か働かせて声帯を閉じようとしたり、共鳴腔の操作などでそれらしい音色を出すこととは異なります。
というか、フースラーメソッドは喉の機能回復を狙っていくために7種類の声を出しましょうと言っているのであって、
発声に関わる●●筋肉が純粋に働いていればアンザッツ●番の声が出るよねということであり、
なんでもいいからこねくり回してそういう感じの音色がでれば良いという訓練方法では全くないです。
ここを勘違いしていらっしゃる方が結構多いかと思います。

アンザッツ5番は、声帯が引き伸ばされて表面が接地するだけの薄い状態(裏声)を保ち、そこから喉頭を純粋に上げていくとだんだん声帯が閉じ始め隙間が埋まっていき、共鳴腔も狭まりよりハッキリした甲高い音色が表出されるというわけです。

 

5.まとめ

とても難しい発声ではありますが、完璧な5番でなくてもどんどん出してください。
多少こんがらがってしまっていても、普段使わない声を練習することは良い影響も必ず含んでいます。

ただ上の音源ではよくわからないと思いますし、実際自分がどのくらいできているのか判断するのも難しいので、
ぜひフースラーメソッドに詳しい先生に習ってみてください。

それと、5番が重要ではありますが、この声ばっかり練習していてもまた固着するだけですので、
ボイストレーニングは特定の声ばかりを出さないことが大切ですので、
いろんな声を出して開発していってくださいね。

 

 

 

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