すべて相互に関わりあっている

みなさん、こんにちは!
新宿・千歳烏山のボイストレーニング教室Kayoko Voice LabのKayokoです。

さて、みなさんはなぜボイストレーニング、もしくはボーカルレッスンを受けていらっしゃいますか?
もしくは受けてみたいなと思っていらっしゃいますか?

答えは千差万別だと思いますが、多くの方が、
「声を改善したい」「歌が上手くなりたい」
という理由ではないでしょうか。

以前あなたが望むのは「ボイストレーニング」?or「ボーカルトレーニング」?のブログ記事でも書いたように、
ボイストレーニングと歌の練習は相互に関係しあっています。

その例として今日は、ひとりの生徒さまのお話をしたいと思います。

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1.登場人物のご紹介

 

その方は、20代前半の男性です。
比較的口数の少ないおとなしめな印象を受ける方です。
そのせいか、発声練習でも歌をうたっている時でも、少し遠慮しているような、恥ずかし気な様子でした。
ただ、歌が好きだという気持ちはとても伝わってくる方でした。

彼のレッスンは主にアンザッツがメインで、歌の練習はあまり行っていませんでした。
私としてはもっとレッスンの中でも歌ってほしいと思っていたのですが、
「歌は家でも歌える」と言って、ほぼボイトレばかりしていました。

 

2.惜しい点

 

ボイトレの成果もあって、声の運動能力はけっこう良い方向へ向かっていました
ただ彼の惜しい点は、比較的もともとの喉の運動神経は高い方だったのですが、少しでも苦しい、出ないと感じるとすぐに地声から裏声へ切り替えてしまう、ということにありました。

これは多くの方に見受けられるのですが、能力的なことが原因ではなく、精神の方に起因していたと思います。

もちろん、高いと感じる音を地声で張り上げるのはあまりお勧めはしないのですが、あまりにもすぐ虚脱した裏声へ逃げてしまうのは、それはそれで刺激がなさすぎて練習にならないという場合もあります。

しかしながら、いくら私がもっと大きな声で~と言ったところで、本人に大きく出そうという意思がなければそんな声はでるわけがないのです。

その証拠に、私の前では引っ込み思案的な感じで歌うのだけど、家ではどうか?と聞いてみたら、「もっと大きな声で大胆に歌っている」というのです。
やはり環境や精神的な面に起因しているのかなと思いました。

 

3.突然の発表会出演決定からの…

 

こんな感じで遠慮がちに練習する日々がつづき、簡単に言えばある程度まではいけるけど、そこからいまいちブレイクスルーしない、といった感じでした。

もちろん私の能力不足な部分もあったと思います。もっと彼の潜在能力を引き出してあげられる方法が足りなかったかもしれません。

ところがッ!!

そんな彼がずっと遠慮していた、発表会にでることになったのです!

彼としては出ろ出ろと言われ断れずしぶしぶ・・・といった感じだったかもしれませんが(笑)
そんなこんなで巻き込み事故系ですが他の生徒さんとバンド形式で発表会に出ることになりました。

発表会当日までは、ほんとーに紆余曲折ありました。

⇒ キーが高い曲を選んだので、どうしても裏声になってしまい、声量がおちるため、バンドに埋もれてしまう
⇒ ギターも弾くことになったので、歌と弾くことがどっちつかずになってしまい、どっちかに絞った方がいいんじゃないかと悩む

 

そんな感じで、彼としては出るなんて決めなきゃよかったなぁ的なことをボソっ漏らしたこともありました。
今までは自分の歌いたいように自由に声を出せていたものが、
人と一緒にやるため、好きだった音楽が「やらなければいけない事柄」に変わってしまい、
テンションが落ちていることは見るも明らかでした。

それでも、「ギターだけに専念した方がいいんじゃないか~」と言う彼を、周りの生徒さんや先生たちが支え、ボーカル&ギターでいくことになり、なんとか当日を迎えました。

 

4.発表会当日

 

本番前の彼はもうそれはそれは緊張して、ほかの人の演奏など右から左の様子でした。
そりゃそうです!ステージで&人前で歌うのは彼にとって初めの初めてだったので、当たり前です。
「緊張がやばい!緊張がやばい!」と言いながら時は流れ、
いざ彼のバンドの番になりました。

私もコーラスで参加したので、横から彼の様子を見ていました。
意外や意外、緊張している様子ではありましたが、練習のようにできていたと思います。

終わった後の本人は、「緊張してよく覚えていない」と言っていました。
それでもいつもはあまり見せない、明るい表情で、よく笑っていました。

めでたしめでたし。。。

で は な く ! !

 

5.発表会後の変化

 

さて、前置きが長くなりましたが、肝心かなめはここからです!!

初めて人前で歌った彼。発表会後のはじめての私のレッスンで・・・

劇的変化!!!

以前は遠慮がちだった練習風景が一変!!

なんかおっきな声だしてくれてる!!

わたしのむちゃぶりモノマネもやってくれる!!

とりあえずなんか大胆になったぞ!!

「どした!?どした!?」と彼に聞くと、

「(発表会にでて)なんかどーでもよくなった」と。

 

リミッターがはずれたというのか、もしくはタガが外れたか(笑)

たくさんの人の前で歌うという、自分には一生縁のないことと思っていたことに挑戦してみて、
もしかしたらとっても恥ずかしくて、辛い時間だったかもしれないけど、
そんな胃が痛くなるような経験から見たら、私とマンツーで声を出すことなど、屁でもないように感じたのでしょう。

その1時間は今までに感じたことのないチャレンジ精神を感じました!

 

6.彼の経験を通しての私の考察

 

この彼の場合は、人前で歌をうたったことによってボイトレに対する姿勢が変わりました。
そーなんです!!
ボイトレばっかやっていてもだめ、歌をうたってばっかりもだめ、
この二つはお互いがお互いを支えあっていて、影響しあっているのです。

私はボイストレーナーなのでボイスのトレーニングが専門ですが、それだけでは補完できないことはあるとつねづね思っています。

ボイトレばっかやっていても宝の持ち腐れで、人前でその成果を感じられてこそ本当に成長したと言えると私は思います。
人前にでると練習のように歌えやしねーーって経験私も何度もしてきました。
そのギャップを埋めたくて何度も何度もトライアンドエラーを繰り返し、今もなおです。

声を鍛えたければ「人前で歌う(話す)必要がある」し、
歌が(喋りが)上手くなりたければ「発声を磨く必要がある」。
声をトレーニングすることと、人前でパフォーマンスすることは相互矢印⇆バリバリなんです!

 

上記の生徒さんの例で言えば、
彼は「声の開発は進んではいたけども成長が停滞していた」時期に「人前で歌う」というとんでもない経験をして、「(ボイトレのレッスンなんてあのときの緊張に比べたらなんてことないや)発声練習もっとがんばっていけるぞ」となったわけです。

心が前より解き放たれたのでしょうね。

 

彼の経験は、改めて私もとても考えさせられました。
すべてのこの世の事柄は関係しあっていて、どこでなにが起こるかわからない。
これがボイトレの、しいては人生のおもしろさですね。

私ももっともっとみなさんの声に耳を澄まし、小さな小さな発見をたくさんしていきたいです。

 

そうそう!

彼も発表会に出る経験を通して、さまざまな人に出会い、他の人の演奏を見て、いろんなことに興味がでたようで、
今はドラムのレッスンを追加してやっているようです。

(なんでやねん!!そこはボイトレのレッスン増やすんちゃうんかい!!笑)

私の心の声でした。チャンチャン。

 

 

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