喉を開くとは?

 

みなさん、こんにちは!

今日は「喉を開く」とはなんぞや?というテーマで書いてみたいと思います。

 

よく聞きますよねー「喉開いて〜」って。

言った人が何を意図しているかはいろいろあると思いますが、

私は「喉が開いている」とは「声の通り道が塞がれていない状態」だと認識しています。

 

国立がん研究センターがん情報サービスさんより

 

この図のように、声帯の上にはいろんな空間が存在します。(上の図では声門)
この空間の形が変わるからいろんな音色を私たちは作ることができます。

ただ、この空間は意図せず歪められてしまうことが多いのですね〜。

声帯で作られた音が口からアウトプットされるまでに通ってくる空間に(自ら狙っているものを除いて)遮るものがない状態を、ボイストレーニングとしては重要なテーマとして捉えていいのではないかなと私は思っています。

 

とは言え、「声の通り道」を意識することは難しいです。

私も昔習っていた先生に、「喉に煙突が通っている感じで」と言われたことがあります。
今は、もしかしたらこういう感覚のことをその先生は言っていたのかなと発声の中で感じられるようになりましたが、その当時は「どういうこと!?(;´д`)」と困惑していましたね〜。

 

喉を開くとか開けろとか言われるということは、つまり声の通り道を塞いでいるものがいるということです。
一体それは何なのか?

一番考えられるのは、「舌」「軟口蓋」です。

舌の動きは想像しやすいと思いますが、軟口蓋はなかなか意識しないですよね。
軟口蓋とは、上の歯の裏側から舌先で後ろへつたっていくと、固い部分から柔らかくなるところがあると思います。その辺りを指します。
軟口蓋は動かすことができます。
鏡を見ながら口蓋垂(のどちんこ)が見えるくらい大きな口を開けて、鼻から息を吸ってみてください。
軟口蓋が下がって舌の後ろの方とくっつきますよね。これは吸った空気がそのまま肺の方へ行き口に返ってくるなよ〜という蓋みたいな作用をしています。

次に口から大きく息を吸ってみてください。今度は軟口蓋が上がり口蓋垂がはっきり見えて舌の後ろの方と離れて喉の奥の壁面が見えませんか?
生きるために空気は必要不可欠ですから、空気さんウェルカムということで息を吸うと喉は広く使うように勝手に動きます。

だからよく喉を開くことを意識する際に「あくびの喉で〜」と言われるのですね。
あくびは大きく息を吸って大きく吐きます。喉の空間を広げやすい動きになります。

トレーナーによってあくびの喉に言及する目的は色々あると思いますが、舌や軟口蓋の関わりがあまりなく、声の道が確保されている方が発声の効率としては良いということは共通認識だと思います。
声帯で作られた声が何かにぶつかることなくスーっと口まで上がってこれるということですからね。

 

舌や軟口蓋の動きは発声に大きく関わってきます。
というか、そもそもの声を作る主な筋肉群たちがきちんと力を発揮できていないから舌や軟口蓋の動きで狙った音程や音色に対して何とか近づけようと助けてくれていると考えてもいいかもしれません。

もちろん一番に見るべきは内喉頭、外喉頭の筋肉の働きで、舌や軟口蓋を気にしすぎるのは遠回りではないか?と思う方もいるかもしれませんが、私は両方から着目して練習していくと良いと思っています。

 

特に「舌」の動きは注目しながらトレーニングを行なってほしいなと思います。

日頃話しているだけでは、舌の動きは十分ではなくどんどん鈍く固くなっていってしまい、つられて喉頭の能力もどんどん萎縮し発声や歌唱に影響を及ぼします。

舌によって発声が遮られた状態というのは、わかりやすい例で言えば、「いびき」です。
仰向けに寝てみてください。舌が重力で少し喉の奥の方へ下がる感じがしませんか?
そのほか首回りの脂肪なども原因だと聞きますが、いびきは空気の通り道が狭く上気道の粘膜が触れ合って振動して音が出ています。

無呼吸ラボさんより

少し大袈裟ではありますが、歌っている時にもこのように舌が落ち込んで声の通り道を塞いでしまうことがあります。
その他には、舌がカールしてしまったり、上に持ち上がってしまったり、舌自体に力が入っている、という状況は多くの方に見られます。

かくいう私も舌の動きはそれほど柔らかくないので、日々鏡を見ながら意識して練習するようにしています。

 

繰り返しますが、舌や軟口蓋の動きは基本的には発声にダイレクトではなく間接的にしか関わりません。
ですので、舌の動きが改善されたらめっちゃ歌が上手くなる、良い声になるということはありません。(もちろんすぐに良い方へ変わる方もいるとは思いますが、その方はおそらくもともと比較的良い発声と思われます)

あくまで、発声のメイン機能である、内喉頭、外喉頭の筋肉ちゃんたちを刺激して目覚めさせちゃんとお仕事できるようにすることが大事です。

とは言え、舌の動きは喉頭に影響を及ぼしますので、こちらから攻めてみるのもアリです。

自分の目でしっかり観察できるのでわかりやすいと思いますので、鏡を見ながら動かすのをぜひ習慣化してみてください!

練習方法:舌の動きが関わる子音を使う

● K(G)行 :かきくけこ(がぎぐげご)

● T(D)行 :たちつてと(だでぃどぅでど)

● N行 :なにぬねの

● Y行 :や ゆ よ

● R行 :らりるれろ

 

「カカカカ」「ガタガタ」「ルルルル」「ネコネコ」「カネカネ」「ヨロヨロ」「ラナラナ」「クルクル」「タテタテ」…

何でもいいです。
連続して発声してみたり、アンザッツ各ナンバーの声を子音をつけてやってみたりして、自分の苦手な言葉が見つかれば、弱点も見つけやすいと思います。
また、好きな曲のメロディーを借りてそれにのせて舌を動かす言葉で歌ってみるなども良いと思います。
50音図のせておきます笑

 

生活の中で話すという分には舌の動きなど大して気にならないかもしれません。
ただ歌うとなると普段の活動領域を越えます。そうなったときに舌のエラーは顕著に現れ影響を及ぼします。
歌うためだけというわけでもなく、いびきや呂律が回らない飲み込みにくいなど、舌も筋肉なので使わなければ衰えていき生活に支障をきたすこともあると思います。

 

今回は「喉を開く」=「声の通り道」のお話をしました。
その弊害となりやすい、軟口蓋や舌の動きに言及させていただきました。

ぜひ鏡を使って、舌や軟口蓋の動きを見ながら発声して、声にどんな変化があるか観察してみてください。

イ、ウ、オの母音系列の言葉は口があまり開かないので見えにくいと思いますので、まずはア、エ母音系からやってみるといいと思います。

肝心なのは、口の中や声帯より上の空間を広く大きく使えるか、ということより、声の通り道を邪魔していないということです。
喉頭が上がると空間は狭くなりますが、声の通り道は確保できます。(アンザッツで言えば1番5番))

喉を広く大きく使うことについてはこちらで書いていますので読んでみてください。

 

言葉による発声のしにくさを見つけ出し改善していくことによって、喉頭の能力はもっと復活していくと思います。

 

ぜひやってみてください!!

 

 

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