喉頭を下げよう

 

みなさん、こんにちは!

ボイストレーニング生活はいかがでしょうか〜??

まだまだ自粛モードでしょうか??

 

この半年、声を出すことや歌うことなどなどもってのほかー!という感じで寂しい時間を過ごして参りましたが、少しずつ戻りつつありますかね。

対策を講じつつ、また新しくみなさんと一緒に声の世界を盛り上げていきたいと思います!!(*^▽^*)

新宿と千歳鳥山で対面レッスンをやっておりますのでぜひお越しください〜☆

(オンラインもやっています!)

 

さて今日のテーマは、「喉頭を下げる」ことについてです。

 

よく聞きませんか?

「喉を下げて歌う」とか「喉は上がっちゃダメ」とか。

なんでなんでしょうね??

今回は喉頭を下げる理由とその訓練方法をご紹介いたします!

 

 

1. なぜ喉頭を下げなければいけないのか

印象深い話があります。
私の友人が昔歌を習っていたとき、先生に高音発声の際、

「鍋蓋がしまってる!鍋蓋がしまってる!」

と言われまくったそうです。

 

なべぶた・・・( ゚д゚)

 

まぁおもしろい表現ですが、言われて嬉しくはないですね〜。
この先生はきっと声は遮るものなどなく、もっとスパーン、パッカーンと出るものだとご自身は体感があったのでしょうね。

皆さんも、「苦しそう」「喉がしまっている」「もっとリラックスして〜」とか言われたことはありませんか?

私も「喉を開く」とか全然意味がわかりませんでしたね。
私の喉の中で一体何が起こっているからこんなに苦しい発声にしかならないのか教えてくれる先生はいませんでしたね〜。
“鍋の蓋”を開ける方法をもっと早く知りたかった。。。笑

「鍋蓋が閉まっている」「苦しそう」「詰まったような声」と表現される時はその多くが”喉頭が上がっている状態”を指すと思います。

 

初めに申し上げておきますが、”喉頭が上がっている状態”、いわゆる”ハイラリンクス”で歌うのはダメーとよく言われますが、私は全くダメだと思っていません。

自分の求める表現ができていれば、どんな声、どんな喉頭位置で歌おうとハナマル💮です。

 

ただデメリットがあるとすれば、そもそも”喉頭が上がる”という作用は何のために起きるのか考えると分かります。

声を出す以外で喉頭が上がるのは、「食物を飲み込む動作(嚥下)」の際に起こります。

食べ物は気管の方へおりて肺へ入ってはダメですよね。それを防ぐために飲み込み始めの動作として喉頭が上がり、気管の入り口にある喉頭蓋が倒れ蓋をし、その下にある声帯は肺への道を塞ぐために閉じられます。また、安静時(呼吸時)よりもずっと声帯上の空間(喉頭腔)が狭くなります

声帯の閉鎖が自然に発生し、かつ空間が狭い状態で高い音を出そうとすると、余分に頑張りすぎて閉鎖が過剰になってしまったり、もっと空間を狭めて高い響きを作り出そうと声帯周辺のお肉が寄り、首回りの筋肉もガチガチに固まって柔軟性を失うことが多く、声帯を狙った音高に合う伸展や振動をさせることが難しくなります。
なんだか喉のあたりが痛いし、音程は当たらないし、いいことなしという感じになりやすいのですね。

つまり“喉頭が上がる”という動作は、空間が狭くなりかつ声帯を閉じるという作用を必然的に伴うため、いわゆる喉閉めと言われるような、苦しそうな歌い方になってしまいやすいので、敬遠されがちなのですね。

もちろん高音が出ないのは喉頭が上がってしまうことだけが原因ではありませんので、喉頭が上がることを悪者にしないでくださいね。

 

そこで今日のテーマ「喉頭を下げる」ですが、これができるようになったら全て解決されるかは人それぞれですが、
喉頭を下げる力は歌う際にとてつもなく役に立ちますので、ぜひ喉頭を下げる能力を呼び覚まし、そして大いに育ててほしいと思います。

 

下の記事の動画のようにゲコゲコと上下させられるようになってほしいのですが、どうやったら下がるの?と感じる方も多いかと思います。

喉頭を下げるきっかけになる練習を紹介していきたいと思います。

 

 

( 1 ) 口を縦に大きく開ける

アーティストさんが歌っているのを見ると、めっちゃ口を大きく開けている人がいませんか?特に高音のときなど。

その確かな理由はもちろんご本人ではないのでわかりませんが、顎を下げると連動して喉頭も下がります。
喉頭を引き下げる筋肉の代表として胸骨甲状筋という筋肉がありますが、このコが働くと声帯のお家である甲状軟骨が下がります。甲状軟骨下がると声帯が少し引き伸ばされます
ですので、喉頭を下げると声帯が引き伸びてピンと張られるので高音が出しやすい状態になります。

高音で大きな口で歌っている方はこの作用を利用して声帯を伸展させ高音発声に役立てているのかもしれません。(あくまで可能性です。その他の目的やパフォーマンスとしてやっている方もいると思います。)

では、ムンクの叫びの絵のように、口を縦に大きく開けてみてください。
勢いよくガコーンと開けるのは危ないですからゆっくりやってくださいね。
ただ単純に顎を下げるだけです。唇を尖らせたりなるべく他の動きが加わらないようにしてください。
「イ」と横に引っ張るような口というより、ガーンというイラストのような顎が落ちてしまったようなイメージで開けてください。

どうですか?少し下に下がりましたか?
そんな劇的には下がらなくても気にしないでください。
首の横筋が立ってしまうくらい頑張らなくていいです。いろいろ他の筋肉を巻き込んでいる可能性がありますので。
少しでも下がる感じがしたらヨッシャーでいいです!

 

(2) 気だるい声を出そう

次は「なーんか乗り気しないな〜」みたいな感じの気だるい声を出してみてください。
朝イチの声という想像でもいいかもしれません。

気だるい声デモ

 

「ア〜」や「オ〜」みたいな感じで暗く深いため息をつくような感じです。

 

(3) 大きく息を吸う

次は大きく息を吸ってみましょう。
これはいろんな場所でよく聞く方法だと思いますが、大きく深呼吸をするような動作は、空気をたくさん取り込もうと喉頭が下がり空間が広がりやすいです。

大きく息を吸う

 

注意すべきは、あまり明るくないイメージで、ハッとした時、驚いた時についつい出てしまう声のような感じです。

間違っている音色も載せておきます。

喉頭が上がっているデモ

明るい音色にならないよう注意してください。

 

(4) あくびをするandした瞬間に声を出す

これもよく聞く練習方法ですね。
「喉が開く」感覚を得るために「あくびの喉で〜」はよく言われますね。

誰も見ていないからためらうことなくできる大きなあくびを想定してやってみてください。
あくびは大きく息を吸い込み、そして大きく息を「はぁぁぁ〜」と吐く方が多いのではないでしょうか。

このあくびは大きな空気の移動がありますので、口〜咽頭〜喉頭までの空間が広がります
喉の空間が広いという感覚を得やすいと思います。

あくびが起こった時はぜひ喉を触ってみてください。自然に下がっているはずです。
そして余裕があれば、あくびの息を吐きながら何か話してみてください。
その下がった喉頭位置をキープする感覚が得られるかもしれません。

また、あくびの際声帯は開いていますので、その状態で話そうとすると息の流れの力も借りて声帯の薄いくっつき(裏声)が見つかる可能性もあります。

(あくびをしながら)「おはようございます」

あくびをしながらしゃべる

 

(5) 「ガ」行を使う

最後は効果がある人とない人といるかもしれません。
「G」の子音は一度舌の後ろの方が軟口蓋付近にくっついてから発音する瞬間に離れて喉の奥の空間を確保しやすいです。

その勢いを借りて大きめに「ガ」と言ってみてください。
その際デモのように暗い音色を狙ってください。明るく高めの声だとあまり喉頭の変化を感じられないと思います。

「ガ」行を使う

 

 

3.まとめ : 下げることが全てではありませんがとても大切な要素です

上にあげたやり方が少しでも喉頭を下げる感覚のきっかけになったら嬉しいなと思います。
喉頭を下げるという感覚がわかってきたら、顎を動かさなくてもできるようにしていってください。

いちいち大きい口を開けたり、あくびのように大きく息を吸わないと喉頭を下げる動きが発動しないようでは、じゃあ「イ」のような口が狭い母音の言葉のときはできないことになってしまいますし、とうてい歌のスピードにはついていけないので、どんどんやれることを増やしていきましょう。
もう喉頭下げることなんてチョロイ〜という方は、その状態をキープしていろんな言葉、音色で発声ができるか吟味してみてください。

実際、トレーニングとして喉頭を下げることはできても、その下げを意識しながら歌うことはまた一段階難しい作業になります。
なぜならあくびをしたときに分かる通り、生理現象として喉頭が下がると声帯は開き気味になります
声を出すということは声帯を閉じなければいけませんから、開きやすい状態を閉じるということになり、声をはっきり出すには難しい状態になります。
喉頭を下げるとなんだか緩んで声にしにくいという感覚がある人も多いと思います。

 

最後に、喉頭の引き下げに注目したアンザッツ4番の私のデモを載せておきます。

■アンザッツ4番

アンザッツ4番

 

繰り返しになりますが、喉頭は下げた状態で歌うのがベストというわけではありません
女性アイドルさんたちの多くは喉頭位置が高いですし、一般的に言うアニメ声も高いです。
日本古来からある民謡もそれに演歌も、喉頭位置は高めです。
日本人は喉頭位置が高い声が好きな民族なんですよ〜。

ただ生理現象として高音へいくにしたがって喉頭は上がっていくものですし、日常でも下がる状態よりも上がる状態の方になりやすいのではないかなと私は思いますので、たくさん練習してバランスをとってほしいなと思っています。
個人的な体感としても、引き下げる力が明確についたなと感じ始めてから歌いやすさは増したと思います。
“ゴチャついていた机の上が片付いて作業しやすくなった”、というような感じです。

 

“喉頭は声帯のお家”ですから、目指すべきは上へ下への筋肉の引っ張り合いが仲良く拮抗し安定した状態になることです。

ですからローラリンクス(喉頭位置が低い状態)至上主義になってやりまくってしまうと、それはそれでまた偏りを生み出しますので、喉頭を上げることも常に一緒に練習してください。

 

それでは!!(^_−)−☆

 

 

 

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