ボイストレーニングをしていく過程で起こること
こんにちは!ボイストレーナーのKayokoです!
声の調子、歌の調子はいかがですか?
声を出せない/歌えない時期ではありますが、喉へのアプローチはたくさんありますので、
どうかトレーニングを続けてくださいね!!(*^▽^*)
さて、今日のブログは、「声の成長過程にともなって起きること」について書きたいと思います。
ボイストレーニングの過程においては、「不調」と感じる状況になることがあります。
声を出しやすく、歌いやすくするために通っているのに、
なんか出しにくい、逆に歌いにくくなってない?という感覚になることがあります。
(もちろん個人差はあります。全ての人がそうなるわけではありません。)
【 目次 】
1.今の状況を変えることがトレーニング
良くなるために習い始めたのに、声出しにくくなるなんて勘弁してよ!
その通りですよね。
しかし、トレーニングとは、今できることをする時間ではなく、普段とは違う負荷を身体に課し成長することです。
筋トレやスポーツをやられている方は想像しやすいかと思います。上達するには痛みがともなうものですよね。
ただ、いつもよりも負荷が高い状況を人間の身体は嫌がります。
なぜなら生き延びることが本能だから。わざわざ身体を痛めつけることは不必要です。
でも、今までの発声では何か困難なことがあるから習うわけですよね。
今の喉の使い方では補いきれないものがある、ということは今の状況を変えなければならいということ。
私たちの身体は、というか脳は、いつもと違うことを検知したら、快感と思うか不快に思うかどちらかでしょう。
右利きの人が左で同じことをしたら難しい、そんな具合に。
トレーニングとはそういうできないことをできるようにし、能力の幅を広げることです。
“身に付く”という結果を得る過程には、何度も間違え、痛みを経験し、そういう苦虫を噛むような時間が必ずあるものです。
2.正しい手順で進めていくにはほとんどの人が現状のバランスを崩すことになる
今はもう遠い記憶ですが、私にも歌いにくい時期がありました。
私の喉はもともと、地声も裏声も大して使えておらず、変なくっつき方をしていた喉だったので、
声区の分離をしっかりやっていく過程で、とても歌いにくいと感じる時期がありました。
今まで話す時や歌う時に使っていた筋肉のバランスが、ボイストレーニングによって変わってしまったからだと思います。
この時期は確かに辛かったな〜長いトンネルだったな〜とは思いますが、フースラーメソッドを基準に信じて続けてきてよかったなと今は思います。
発声に関わるあらゆる筋肉が生まれつきかなりうまく活動している人(超まれ)を除いて、
ボイストレーニングは違和感と常に隣り合わせと考えていいのではないでしょうか。
今声を出している時に活動している筋肉のバランスでは困難があるわけですから、
それ以外のバランスを脳に学習させ身体に記憶させる必要があります。
高い声が出ない、音程が取れない人は裏声をたくさんやるべきですし、声量がない人は地声を刺激しなければなりません。
大切なのは、ボイストレーニング中のある発声に対し”出しにくい感覚がする”からといって、間違っていると判断するのは早合点ということです。
普段と違う運動をしている、今まで使ったことのない箇所を動かしているのですから、不快に感じて当たり前なのです。
講師から指示された発声がやりにくい、出しにくいというのは、
もしかしたらそのアプローチが間違っている可能性もなくはないですが、
いつもとは違うバランスだから慣れておらず不快に感じるというだけの可能性の方が大きいと思います。
もしくは、これも発声を抑圧してしまう大きな要因の一つなのですが、
ボイストレーニング中の声質自体に、自分の好き嫌い、つまり美的感覚を重ねてしまい、声を排除してしまうことがあります。
嫌い、やだな、なんか変な声だな、という気持ちによって脳に制御がかかりますので、喉は良い反応をしてくれず不快に感じてしまう可能性があります。
3.私は対処療法的なボイトレは行いません
みなさんは、肩が凝ったらどうしますか?
お風呂にゆっくり浸かりますか?マッサージや整体に行きますか?
これは対処療法というやつです。現状を改善するのみ。つまり今ある肩こりを”減らす”ということです。
“なぜ肩が凝るのか?”という根本原因の追求はしません。
私はこういうボイストレーニングは行いません。
なぜなら根本を考えなければ、どうせまたすぐ元に戻ってしまうからです。
声も一緒です。
話し声が発声のほとんどになっている現代人ですから、少しボイトレしたくらいではなかなか変化しません。
発声に関わる筋肉の成長は本当にゆっくりです。
私のレッスンでは今までと違う状況を体験してもらいます。
動かしていないところを目覚めさせたり、動き過ぎているところを穏やかにさせてりします。
それは変な感覚になるでしょうし、不愉快かもしれません。
あらゆる方向から慎重に試行錯誤しつつも、例えば、地声が重たくなれば、高い声は出しにくくなるかもしれないし、
裏声が成長すれば声量は減るかもしれない。
裏声なり地声なり、どちらか一方が強くなってシーソーが傾いたような状態になれば、歌いにくくなるに決まってます。
しかしこういうアンバランスな状況は必ず起こります。
常にあらゆるバランスを見ながら均整の取れた感じで成長していけたら良いですが、そんな簡単にいい具合に反応してくれないのが私たちの脳というやつです。
4.まとめ:信頼できる講師とよくコミュニケーションをして進めていってください
成長過程のあやうさというのは本人はとても心配になりますよね。
ここはもう講師の腕にかかっているし、お互いの信頼関係も必要になってくると思います。
焦らないことが肝心です。講師ともよく話し合いましょう。
私も地声の練習では、喉いったぁ〜!ってこと何回も味わいましたよ。
それでもめげずにいろんな発声をしていったら、あれ?いつもより出しやすいかも!?という感覚に出会えて、
病みつきになっていきました笑
みなさんの声が、健康的に成長していくお手伝いをしたいと思っている私です。