混合しているってどういうこと?

 

こんにちは!

新宿・千歳烏山のボイストレーニング教室Kayoko Voice LabのKayokoです。

ひとつ前のブログで声の「分離」について書きましたが、

今回は逆の視点から書いてみたいと思います。

「分離できている」ではなく、「分離できていない」、つまり地声と裏声の整理がついていなく「混合している」状態とはどういうことなのか考えてみたいと思います。

 

 

 

1. 混合しているイメージ

 

次をクリックして動画をご覧ください。

 

みなさんこれできますか?親指から順番にひとつずつ持ちあげられますか?
私は上の映像の通り全くできません(@_@)

日本では指で数をカウントする場合、親指が「1」ではなく人差し指を「1」として始めることが多いかもしれませんが、外国の方がこのように数えるのを目にしたことがありませんか?

地声と裏声が混合しているというのは、この「薬指と小指がどうしても一緒に動いてしまう」状態に似ています。

出川哲朗さんがこういう風に数えるのをテレビで拝見したことがありますが、彼は完璧に小指を折り曲げたまま「4」を作ることができていました。
みなさんの中にも余裕でできる人もいるでしょうし、私みたいにできない人もいると思います。

なぜできないのかと言うと、薬指と小指の神経は同じ方向に通っているため脳からの命令がうまく分かれて働かないためで、
単純に言えば、このような指の動かし方をしてきておらず神経伝達がうまくいっていないからですね。

でも練習すれば誰でも完璧に「4」を作ることはできます。反復練習して、「薬指だけを動かす」神経回路を開発していくのです。

なんとなくイメージはつきましたでしょうか?

地声と裏声が「混合している」とは、映像のように片方を動かすともう一方も勝手について動いてしまう神経回路がこんがらがっている状態です。

「裏声だと思って出しているのに何だか地声っぽい」とか「地声だと思っているのに裏声っぽい」とか地声・裏声のそれぞれの役割が整理できていない状態ですね。

 

2. 混合していてはいけないの?

 

地声・裏声が混合しているのはいけないことなのでしょうか?

いえ、いけないことではありません!いわゆるミックスしている声が悪いわけでは全くありません。

自分の意思を持って「混ぜ合わせている」のであれば全然問題ありません。

問題があるとすれば、「そういう声しか出せなくなっている」ことにあります。

先ほどの映像で言えば、薬指だけ持ち上げたいのに小指もついてきてしまう、小指だけ曲げたいのに薬指がいつもついてきてしまうのはちょっと不自由だと思いませんか?

薬指だけ、小指だけ動かすことができたらそれだけできることが多いということですよね。

それぞれ独立しても動くし一緒に動かすこともできた方ができることが増えると思いませんか?

声に関しても同じで、地声と裏声それぞれが前面に立って活躍することもできるし、一緒に活動することもできた方が、いろいろな発声や声色ができ、できることが広がると思いませんか?

地声・裏声の整理がついてそれぞれがきちんと機能を発揮してくれたら、
「ここは地声で太めに歌う、ここは裏声で優しさを表現したい、説得力のある声でプレゼンしたい、萌え声で魅了したい」など、いろんな曲やシーンに対応できると私は思います。

 

3. 混合しているかどうかのチェック

じゃあどういう状態が混合しているの?ということで、「分離できていますか?」の記事であげたサンプル発声ができないと混合していると捉えてもらって良いのですが、

地声と裏声がこんがらがっていると以下のような発声になる傾向があります。

 

サンプル① 裏声が地声っぽい

 

サンプル② 声がつながってしまう

 

 

自分が出している声が地声なのか裏声なのかよくわからないという方は混合していると思ってもらってよいです。

地声と裏声の働きがきちんと整理されているとはっきりとその違いが体感できます。

ただ自分が地声だと思っている声、裏声だと思っている声が、実は純粋に地声・裏声が活動している声ではない可能性の方が多いので、自己判断は危険なのできちんとした耳のある先生に聞いてもらうのがよいかと思います。

 

声には無限のパターンがあり、本当に千差万別です。

裏声が全く出せない人もいますし、大きな声が出せない人もいますし、高音が出ない、低音が出ないなどいろんな症状や悩みがあります。

でも、
どんな声であっても間違っている声というものは存在しません。

ただ私たちは生活している中で必要な発声しかしていませんから、声域帯や音色が本当に限られてしまい、いろんな機能不全が喉の中では起きています。

生きていく上では気にする必要のないことかもしれませんが、声や歌声を何とかしたいなと少しでも思われる方は、喉頭の可能性にもっと期待してほしいなと思います。

 

地声・裏声を混ぜ合わせることが悪いことではありません。
こんがらがってしまっていたらちょっと立ち止まって整理しましょう、というお話でした。

 

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