1番と2番で歌いにくさがあるのはなんで?

 

みなさん、こんにちは!

今日のブログはこんなテーマです。

『1番と2番で歌いにくさがあるのはなんで?』

同じメロディー、同じリズムなのに、1番は歌えるのに2番は歌いにくい箇所があるなんていう現象ありませんか?

つまり、歌詞が変わると音程が当たらなくなったりリズムがもたついたりしてしまう困難さのことです。

これは至極単純な理由で、
発声がスムーズに行かなくなる動きを発動してしまう苦手な言葉があるということです。

例えば、
1番の歌詞が 「明日へ」 で、2番の歌詞が 「未来へ」 だったとします。
「あ“し”たへ」「み“ら”いへ」それぞれ 「し」 と 「ら」 が高い音へ跳躍するメロディーだったとします。
すると、「あし〜」は音程がバッチリ当たるのに、「みら〜」だとフラットしてしまう。
同じ音程、同じタイミングなのに、「し」と「ら」で差があるのはなぜなのでしょう??

 

その理由は超簡単で、
① 苦手な母音がある
② 子音を作る動作が喉頭のエラーを引き起こしている

これらが二大原因だと思います。

他にも見るべきポイントはあります。
③ その歌いにくい言葉の直前がどんな言葉、メロディーか
④ フレーズの長さはどのくらいか

今日は、こういう歌いにくさの理由と改善方法を考えていきたいと思います。

 

 

1. 苦手な母音がある

言葉というのは母音と子音の組み合わせです。
どんな言葉でも長く伸ばせば、日本語で言えば「アイウエオ」の5母音のいずれかに着地します。
つまり、言葉の大本である「アイウエオ」の発声のクオリティーに差があると、歌の中で音程を素早く動いた時に、顕著な差となり歌いにくさへつながるのです。
おそらく話している時には母音によって発声の困難差はほとんど感じないと思います。
試しに、話しやすい高さで「アーイーウーエーオー」と言ってみてください。
特に言いにくくないですよね。それは、慣れ親しんだ音域でよく使ってきている動きのみで発声が成り立っているからです。
でも歌うというのはそうではないですね。音域も広く、タイミング(リズム)も決められている。
そういう制約のある中で瞬時に反応しないといけないわけです。
それはそれは、好きなように話している時には顕在化してこないエラーがニョキっと顔を出すのは容易に想像できますよね。

ということで、母音を均一化することが歌う上でとっても重要です。
どんな音程、音色であっても「アイウエオ」すべてで同じように発声することができるようにしていく必要があります。
これを「母音の純化」と呼びます。
最後にデモを載せていますので、参考にしてみてください。

 

2. 子音を作る動き

さて、次は子音についてです。
子音は、唇、舌、歯、軟口蓋、硬口蓋、鼻腔などを使って作られます。
よくある50音の表を横へ読んでいくと、ア行とハ行を除いて何かしら動きが加わっていることがわかると思います。
この子音を作る一瞬の動作が喉頭にエラーを起こすことがあります。

例えば、皆さん、舌は柔らかいですか?
「ラララララ〜」「ルルルルル〜」と連続で素早く言い続けられますか?
これ案外できない人が多いのです。
そうなると、ただでさえ日常会話とは異なる動きが歌うには必要なのに、加えて舌が固いとなると自由に楽に歌うにはほど遠くなります。

子音+母音で言葉はできていますので、基本的には大本である母音をいかなる状況でもクリアに発音できる練習をしておけば十分ですが、子音を作る動きに原因があることもあります。
唇をくっつけたり弾いたり、舌が硬口蓋にくっついたり後ろの方が軟口蓋と接地したり、顎が下がったり、小さな動きですがこういうのが間接的に喉頭に影響を及ぼしますので、発声に影響が出てきます。
気がつかないようなちょっとした苦手でも、歌うと大きな差となって顕著に現れます。
自分の話し声でよく使う音域を逸脱した時に、音高を気にすると言葉は歪み、言葉をハッキリ言おうとすると音高が犠牲になる、なんていう事態になります。
おそらく皆さんも人の歌を聞いていて思ったことがあるのではないでしょうか?
歌がとっても上手な方でも(パフォーマンスとしてそうしているのは考えないとして)言葉が聞き取れないことはよくありますよね。
皆さんも自分の歌を録音してフラットな耳で聞いてみると良いです。
歌詞を覚えてしまっているので難しいかもしれませんが、自分では歌えていると思ってもあれ?っと思う箇所が案外あります。
言葉を発する際には、唇や舌、顎などいろんな箇所が関与します。
それらが動いたとしても崩れない喉頭懸垂機構にしてくださいねという話です。

 

3. 直前の言葉、メロディー

皆さんの多くが歌いにくさを感じるのは、おそらく高音部分が多いのではないでしょうか?
(低音はこねくり回したらなんとか出るというものでもないので今回は触れません)
では、その出しにくい音の直前はどんな言葉、メロディーですか?
実はその歌いにくい〜と困難を感じるより手前で何か小さな変化が起こっていることもあります。
私の場合で言うと、私はN行が苦手だと自分で認識していますので、Nの高音発声は苦手ですし、高音へ上がる直前の言葉が「ン」や「ナ」だったりするとその直後の発声に影響が出ます。
苦手な動きからすぐ復活できません。
他の例ですと、地声から跳躍してファルセットへ抜くのが苦手な人も多いと思います。逆に裏声から地声へすぐに戻すのが苦手という人もいます。
単純に地声⇄裏声の切り替えに慣れていないというのもありますし、苦手な言葉の組み合わせという場合もありますし、そもそもその音の跳躍幅に慣れていないというのもありますね。
なのでボイストレーニングは、あらゆる言葉、あらゆる音の幅やランダムなスケールで徹底的にやる必要があります。

歌詞の言葉の組み合わせや、メロディーの動きはとても複雑です。
単音で3秒くらい「アー」と伸ばしているだけの練習では網羅できるはずがありません。
自分で想像しうる限りいろんなパターンで練習しましょう。

 

4. フレーズの長さ

これは読んで字のごとくですが、フレーズが長くて息を吸うところがなければ最後の方は息が足りなくなって歌いにくくなるのは当然ですね。
空気の流れがないと声帯が振動せず発声できません。
じゃあプロの人たちはムチャムチャに息を吸っていますか?
むしろいつ吸っているんだ?と感じたり、自分が歌うと最後まで歌いきれないよーなんて経験したこともあると思います。
これはその人が息をたくさん蓄えられる体だから長く歌えるのでしょうか?
いえ、息の量ではなく、どれだけ効率よく発声できているか、が肝心ですね。
たとえ息がたくさん吸えたとしてもそれを音に変換する声帯がちゃんと機能していなければ息の量など無駄ですね。
なので吸って吐いて〜の練習をめっちゃやっている人は辞めることをお勧めいたします。
どう考えても吸う吐くを意識してオーバーにやっている時点で身体には非効率的です。(瞑想に繋げるのであれば意味はあると思います)

効率がいいというのは小さなエネルギーで大きな出力があるということです。少しのガソリンで長く走れる燃費の良い車ということです。
少量の息で自由に発声することができたら、どんなロングトーン、フレーズも歌えるようになります。
そのためにはやはりトレーニングで長い発声を練習していかなければなりません。

 

5. 改善方法(母音の純化デモ)

ということで、言葉による歌いにくさの差を4つの点からお話いたしました。
こういうあらゆる要素を見直していかなければいけないので、ボイストレーニングは本当に気長な作業になります。
それでも私自身はとてつもない変化を感じていますし、時間はかかるけど本当に声って変わるんだな〜と思います。
現状に満足している方はもっと歌いやすくなりますし、何か困難を感じている方は必ず改善します。
変わらないな〜なんだかな〜(ちぇっ)って石ころを蹴飛ばしていじけている瞬間にも、小さな変化はみなさんの体内で起こっています。

では最後に母音の純化のデモを載せておきます。
母音の純化はボイストレーニングにおいてとても重要な事項です。

G4裏声(アンザッツ4番系)「ウ→オ→ア→エ→イ」

母音の純化(G4)

 

音程キープ、音色キープ、徐々に次の母音へ移るイメージでやってみてください。
ハキハキと母音を言い換える練習もありですが、母音と母音をの隙間をグラデーションで埋めるような感じでやってみてください。
これはほんの一例ですので、5母音をあらゆる組み合わせ、あらゆる音程・音幅・音数、あらゆる声質、ロングトーン・スケールで実施してみてください。
母音が均一化されるとかなり歌いやすくなると思います。

梵声先生の御本にいろいろな練習方法のヒントがありますので、ぜひ参考にされてみてください。

 

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