ボイトレしてるのに歌が上手くならない理由

 

みなさんこんにちは!ボイストレーナーのKayokoです!(о´∀`о)

さて、今日は「ボイストレーニングを習っているのに歌が上手くなっていない気がする」とのお悩みをいただきましたので、私なりの考えを述べたいなと思います。
あくまでこういう状況になっていることが多いんじゃないかという一例ですので、ご参考程度にお読みください。

なぜボイトレを習っているのに歌が変わっていないと感じるのか?歌いやすくならないのか?
それは・・・
ボイストレーニングの内容と、

「 歌との乖離が激しい 」

ということが一つの要因かと思います。
つまり歌に応用できる内容になっていないということですね。
ボイストレーニングが声の出し方を知る時間なのだとすれば、歌うことはもっと複雑で複合的な応用編となりますのでボイストレーニングの内容を歌へ寄せていく必要があります。

 

 

1.そもそもどんな練習をしていますか?

  • 1音ずつ「ア〜〜〜」と適当に伸ばすだけ
  • 1秒に1音移動するみたい3トーンで、
    「あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜(ドーレーミーレードー)」
  • オクターブのスケールをスタッカートで、
    「マ・マ・マ・マ・マ・マ・マ〜(ド・ミ・ソ・ド・ソ・ミ・ド〜)」

 

みたいのばかりやっていませんか?
そしてその発声をしたあと、さぁ歌ってみよう!となっていませんか?

この発声練習自体が悪いと言っているわけでは全くありません!(よく聞くので例としてあげてみました)
的確なタイミングでやればとっても意味があるものです。

問題なのは、なんでこれをやっているか、一体何を狙ってこの発声をしているのかを理解してやらないと、ただ声を出しただけのウォームアップにしかならならず、
今持っているものの力を出しやすくするという程度で、レベルアップを狙える可能性は低いと思います。

結果的に現状維持にしかならず、レッスンへ何度通おうが歌が上手くなった感じがしないということになってしまいますね。

 

2.歌ってとっても複雑

単純な音階練習を特定の言葉でやっているだけでは、歌うことに良い影響を及ぼせるほどのボイストレーニング効果はありません。

だって、歌のメロディーや歌詞で、ボイストレーニングよく聞くフレーズや言葉出てきます?

「あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜(ドーレーミーレードー)」

なんて歌ってる曲聞いたことないですよね笑

トレーニング内容と歌唱には恐ろしいほど隔たりがあるのにみなさん気づいていません。

レベル1なのに急にレベル10のことに挑んでるみたいな。
ホップもステップもない突然のジャンプです。助走のないジャンプです。大して跳べませんよね。

”歌う”ってそんなにすごいことなの!?

結構複雑きわまりないんですよ。

歌うための体力をつけるには、

POINT

◉音の跳躍、下降、音数
◉音の長さ(ロングトーンやスタッカートなど)
◉テンポ、リズム
◉ビブラートをはじめとする様々な技巧テクニック
◉さまざまな子音、母音
◉あらゆるスケール練習(フレージング)
◉音色の操作
◉強弱(音量の自由な増減)

これらはちょ〜一例ですが、やるべきことが多すぎます!( ゚д゚)

「あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜」

と言いまくっているだけでは歌った時になんの影響もないことは容易に想像つくのではないでしょうか。

 

3.具体的にどんな練習をすればいい?

ではどうしていけばいいのかと言うと、ボイストレーニング の内容を歌唱の要素へ寄せていく必要があります。

例えば、

POINT

◉音の跳躍練習、下降練習、音数を増やす
◉ハミングで曲中のフレーズを練習する
◉ひとつの母音で曲中のフレーズを練習する
◉ひとつの子音(言葉)で曲中のフレーズを練習する
◉自分が苦手だと思う言葉で曲中のフレーズを練習する
◉歌詞を母音だけに分解して曲を歌唱
◉テンポを落として一言一言の発声に注目して歌う
◉裏声のみでメロディーを歌う
◉狙った声質を維持してフレーズを歌う(例えばアンザッツ○番的な感じでなど)

 

パッと浮かんだだけでもこれだけあります。
要するに、ボイストレーニングとボーカルトレーニングの間的な練習もしないといけないということですね。

ただ上の練習方法は、そもそもある程度の発声に耐えられくらい喉の機能が回復しているということが前提です。
そもそも1母音の発声でブレている状態なんかでは、まだ早いのではないかなと思います。

それでもどんどんトライしていってよいとは思いますが、歌唱に寄せていく練習とはいえあくまで発声訓練ですので、感情は入れない、発声に注目する、自分が何を狙っているのいるのかはっきり定めて練習するのが大切です。

曲のメロディーと歌詞を借りてボイトレする場合は、上手く吟味すれば自分の苦手や欠点、足りないものが見つかったりもするのでやってみても良いかなと思います。

 

4.歌うの楽しいよね!それが…

みなさん歌っている時はとっても楽しそうです!
いいんですが、テンションが上がりすぎて心拍数も上がってしまうんですよね。
明らかに発声練習の時とは違うテンション。
心拍数が上がると、歌が走りがちになってしまったり、息の量が増えてしまいます。
息を吐きすぎてしまうことは効率の良い発声から遠ざかってしまうので避けたいのですが、
気持ちが上がりすぎてモードが変わってしまうのです。
脳が変わっているので体の反応も変わります。
ボイトレの時間の体感などどこへやらです。

アーティストさんが感情たっぷりに顔を歪ませながら歌っていても安定しているのは、
喉の機能がそれだけ整っているということです。

なので、

POINT

◉冷静に歌う(その曲への想いは一旦横へ置く)
◉小さく歌う(熱唱しない)

歌で発声練習したいのであれば、この点を守ってください。
決してそのアーティストを憑依させないでください。歌詞に自分の思い出を重ねないでください。

(笑)

歌う意味あるんかってなりますよね。
なのでしっかりボイトレしましょう。
それから歌の練習でもぜんぜん遅くありません。

 

5.私のレッスンではあまり用いません

私はあまり曲中のフレーズはボイトレには使いません。
なぜなら余計な思考や感情が入りやすいからです。

アーティストさんの声のイメージや歌詞への想いなど、考えていないつもりでも頭をよぎっていると私は思うからです。それが発声の機能の発動を抑制したり偏らせてしまう可能性があると考えています。

ただ稀に、感情移入しまくったせいか、良いものが表出していることがある時は、そこだけ取り出してトレーニングとして利用することはあります。

 

6. 歌唱のクセや発声の固着を解きほぐさないと何も始まらない

歌い癖ありませんか?

よく聞いてきたアーティストの歌い方に似ていたりしませんか?
ロックぽいとか演歌っぽい、クラシックぽい、ビジュアル系ぽいとか、アーティストの誰々っぽいとか、似てるね〜とか言われたことありませんか?

歌い方に特徴があることは悪いことではありません。誰かのマネができるというのもひとつの能力です。

ただそれが固着しており、そういう歌い方、ひとつの声の出し方しかできないというのはとても問題です。

大抵の現代人はそうなのでしょうがないのですが。。。

特定の声の出し方、歌い方をしてきている時間が長いため、
ちょっとやそっとボイトレをしたくらいでは、発声練習の時では意識できたとしても、歌った瞬間もとに戻ります。

そういうもんです。だってそっちの使い方の方がよくしてきたから。慣れ親しんで体に馴染んでいるから反応がいいんです。

まずはもうここです。

発声をフラットな状態に戻す。

リセットボタンを押さなければいけません。

とっても勇気がいりますね。ゲームなら簡単に押せるのにね。自分の人生のリセットボタンはなかなか押せません。

 

7.まとめ:とにかく土台を安定させることが先決

歌だけうたっていて、歌が上手くなるのであれば私もそうしたいです。
でも残念ながらそうではないようなのです。
かといって発声練習で「アーアー」言うばかりでも歌が上手くならないのも事実です。

上で歌に寄せていくボイトレ内容にしていかないといけないよと言いましたが、
そもそもそれ以前の段階にある人がほとんどです。(一部の自然歌手的な人以外)

発声に関わる筋肉たちの機能をしっかりと目覚めさせコントロールできるようにすることが最優先です。

その土台をしっかり強く組み立てることに時間を費やすことができたら、
歌へのうれしい反応もぴょこっと顔を出したりします。

私たちの喉って、
ピアノやドラムのように押したり叩いたりすればすぐ音が出るわけでも、いろんな長さや太さの弦があるわけでもありません。

でもこの世に存在するあらゆる楽器の構成を人間の喉は全て兼ね備えています。
声帯は形を変えることができるし、空間の形を変えていろんな音色が出せます。

こんな一人オーケストラみたいな楽器は人間の喉だけです。

すごくないですか?!(*´∀`)♪

たかだか数センチの声帯と小さな体内の空間でいろんな音が出てくるのです。
“歌う”なんて特定の能力のある人だけが叶えられることじゃないんですよ、みんな自由に歌えます。

そのためにはちゃんと手順を踏んだボイストレーニングです。
ボイストレーニングは、歌う前のウォーミングアップでも柔軟体操でもありません。
「発声訓練」です。「訓練」なのでちょっとは大変なことなのかなと思っておいていただけるといいかな。
現代人にとっては「機能回復」リハビリ」と言い換えてもいいかもしれません。

簡単な道ではないかもしれませんが、ゆっくり一歩ずつ、そして着実に進んでいきましょう☆

 

 

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